国際会議で良い発表をするための秘訣を紹介します.
学会の公用語が日本語でも英語でも,注意すべきことに大きな違いはありません.まずは,「学会発表に関するアドバイス(国内学会編)」を読んでみて下さい.その内容を修得したという前提で,ここでは,国際会議の晴れ舞台で,英語が苦手な日本人が英語で発表する際に気を付けたいことをまとめておきます.
関係代名詞や関係副詞が何重構造にもなったような複雑で長い文章を,下手な英語で話されたら,聴衆が理解できるはずありません.文を分割できるところは分割し,短い文を使うように心掛けましょう.文語と口語は違うということを忘れずに.論文に書いた文章をそのまま読むと,非常に堅苦しく,聞きにくい発表になります.
正しい英文の書き方を身に付けたいと思うなら,
The Elements of Style (Elements of Style)
などを読むと良いでしょう.間違っても,英語が上手でない日本人が書いた解説本なんかを読むべきではありません.
長い文章を話すときには,どこかで息継ぎが必要になります.このとき,息継ぎの場所に注意しなければなりません.副詞節の前後で区切るなどは分かりやすい規則ですが,とにかく,聴衆が聞きやすいように区切ることが原則です.慣れるまでは,原稿に区切りを書き込むようにしましょう.
英語を話すときに,日本人は発音を非常に気にしてしまいます.確かに,"R"と"L"のように,日本人が不得意と国際的に認められている発音もあり,気になるのは仕方ないことです.しかし,一朝一夕で綺麗な発音ができるようになるはずもありません.それよりはむしろ,アクセントに気を付けるべきです.特に,普段からカタカナで利用している単語には要注意です.辞書でアクセントの位置を確認する習慣を身に付けましょう.発音を気にするのは,その後です.実際,アクセントの位置を間違えると,正しい発音でもネイティブな人は理解できないのですから.
結局,下手な英語をカバーするためには,ハッキリと話すしかありません.ただし,ハッキリ,ゆっくり話すというのは,単語ごとにバラバラに話すのとは全然違います.日本語で,「こ・れ・が・け・っ・か・で・す」とロボットみたいに話すと,非常に聞き取りづらいはずです.英語でも滑らかさが重要ですので,ハッキリかつ滑らかに話せるように徹底的に練習して下さい.
国際会議の発表において,最初と最後に言う言葉は概ね決まっています.
最初は,"Thank you, Mr. Chairman. Good morning, ladies and gentlemen."みたいな感じで切り出します."Chairman"というのは自分が発表するセッションの座長で,発表者の紹介などをしてくれます.発表を始めるに際して,一言お礼を述べるのが礼儀です.
最後は,"Thank you for your kind attention. I am happy to answer any question that you might have."みたいな感じで終わります.くれぐれも,終わったのか終わってないのか分からないようなフェードアウトはしないようにして下さい.
さらに,結論を述べた後,締め括りの言葉の前に,謝辞を述べて下さい.謝辞とはお礼のことです.論文の共著者以外で研究に協力してくれた人や研究組織,研究資金を提供してくれた団体などが対象です.述べるべき相手が誰もいない場合は構いませんが,いるなら必ず謝辞を述べて下さい.どうも日本人は謝辞を軽視しすぎる傾向にあります.しかし,それは不作法な行為です.礼儀正しくあって下さい.
グリーン・レーザーポインタ
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